ハワイの州魚 フムフムヌクヌクアプア ア
日本の都道府県には花・鳥・魚などのシンボルとなる生物を「県花」「県鳥」「県魚」として制定しています。例えば、沖縄であれば、県魚は「グルクン(タカサゴ)」です。私も沖縄に住んでいた時によくダイビング中に見かけましたし、居酒屋に行ったらグルクンの唐揚げが置いてありました。
ハワイにも州魚が存在します。名前は【フムフム・ヌクヌク・アプアア】と言います。
ハワイ名:humuhumu-nukunuku-a-pua'a / フムフム・ヌクヌク・ア・プアア
和名:タスキモンガラ
英名:Wedge-tail Triggerfish
実はこの種以外にも同属のムラサメモンガラも州魚と呼ばれていますが、ハワイの海では圧倒的にタスキモンガラの方が数が多く、ハワイのお土産屋さんなどで売られているグッズもタスキモンガラの絵が描かれていることが多いです。
この種はダイバーに人気のモンガラカワハギの仲間です。タスキモンガラもムラサメモンガラも分類としては、モンガラカワハギ科 ムラサメモンガラ属となります。
ダイビング中に紹介できるのは、浅瀬リーフのみで沈船には生息してません。ケワロパイプやホーシューリーフ、タートルキャニオンなどで見ることができます。スノーケリングなどでも見れますが、他の魚よりも警戒心が強くて、ゆっくり近づかないと逃げてしまい、小さい個体は穴の中に入ってしまいます。
エレクトリックビーチでは、親指くらいの大きさの小さな幼魚の個体が水深2mくらいの場所に泳いでいます。幼魚はさらに警戒心が強く、全然近づけません。
この生物のハワイ語での名前の意味は、フムフムとは「破片を組み合わせる」、ヌクヌクアプアアとは「豚みたいな鼻」という意味です。この種の色彩パターンが色のブロックを組み合わせていることを表しているらしいです。またハワイでは砂や岩を掘り返して餌を探ときに唸るような声を出す、釣り上げた時にブーブーという声を出す行動から豚みたいな鼻という名前になったと思われます。
州魚と認定された歴史は遡ること1984年。ハワイ大学とワイキキ水族館が主導で選挙がありました。その時圧倒的強さでタスキモンガラが1位を取りました。ちなみに2位はシマハギ、3位はフエヤッコダイ、4位はハワイ固有種のサドルラスでした。州魚の認定は有効期間がありましたが、2006年に再度認定され、恒久的にハワイの州魚として認められました。
このフムフム・ヌクヌク・ア・プアアが人気の理由は、ハワイの神話に出てくる生物だからです。
ハワイではペレという火山の女神が有名ですよね。昔のハワイの人々は、火山の噴火はペレの怒りによるものと信じられていました。ペレの夫は半神のカマプアアと言います。この夫こそが州魚であるフムフム・ヌクヌク・ア・プアアなんです。
半神カマプアアは、人間、豚、そして魚に姿を変えることができました。
情熱的で嫉妬深く、負けず嫌いなペレとはよく喧嘩していたそうです。夫婦喧嘩が勃発すると、ペレは火山から溶岩を噴き出して攻撃、対するカマプアアは津波や大雨などで迎撃していたそうなんですが、ペレの方が強かったらしいです。そこでカマプアアは魚であるフムフム・ヌクヌク・ア・プアアに変身して海へ逃げて行ったそうです。
この神話から人気者となり、州魚の座を射止めたということです。
体験ダイビングでも見れる生物ですので、ぜひハワイにお越しの際はダイビングをして、この生物を観察してみてください!ペレのように怒っていると逃げられてしまいますので、穏やかな気持ちで彼らの生活を観察しに行きましょう。